「お願いだから、もう殺してくれ」と、私はSGKにまるで自殺願望者のように言った。

朝の四時、それが私の住むサーバーでのカオスエイジの開幕時間だった。普通、朝の四時というとまともな人間であれば、その日のいろいろな出来事に備えて、熟睡している時間帯だ。すなわち、朝の四時にカオスエイジに集まる人間は、まともではない、失礼、心底カオスエイジを愛してやまない野郎共であると言える。もちろん私もその中の一人であると大いに主張する。
朝の四時、それは昼間に比べて人数は少ない。人数が少ないと、カオスエイジでの勝率はぐんと下がる。勝率が小さいと、マイキャラの死亡を嫌ってか人は集まらない。人が集まらないと…
このような、テレビにでる経済学者がよく言っているような、スパイラルを経て、朝の四時に集まる人間はほんのごくわずかとなる。
朝の四時に集まる野郎共、それらに共通しているのはやはり「命知らず」かもしれない。明らかに「死亡する」とわかっているのに集まるのだ。私はそんな野郎共が大好きだ。
どこかで「うほっ」と言う声が聞こえたような気がする…

毎回見かける名前の方も大勢居る。私は以前PTを組んだ記憶がある人(向こうが覚えているかどうかは不明だが)と一緒に、今回もPTを組んだ。そう、以前所在なさげに私が立っていたときに、優しく声を掛けてくれた人だ。相変わらず丁寧な方である。

さて、無事PTも編成が終わり、人数60人!でカオスエイジ火の門は厳かに始まった。聞きなれた分身前の音楽、あたりに響くbuffの音、そして鬨の声、私の士気は最高潮に達する。
まもなく最下層の一角に、突然沸いたかのようにSGKは現れた。まるで甘い菓子に群がる蟻のごとく、私達はSGKにアタックを開始した。

それから幾度の時間が過ぎたことだろう…
少なくとも一時間以上は、あるいは二時間か、私達は分身前のSGKを相変わらず叩き続けていた。一時はSGKをもう一息で倒せる所まで行っていたが、SGKは驚異の回復力を見せ、今はもう全快状態であった。
初めは和気藹々として戦っていた私たちであるが、次第に口数は少なくなり、そして沈黙があたりを支配した。ただ剣戟や魔法の炸裂音を除き…

「お願いだから、もう殺してくれ!」と私はその空気に耐え切れず叫んだ。
いわゆる生殺しというやつだからである。SGKの情けない攻撃は私たちを殺すまでも行かず、そして私たちの攻撃はあまりにも無力で、無意味な行動に見えたからである。
こんな状況ならまだあっさりと殺してくれたほうがよっぽど精神衛生上良い。よくこの何も変わらない状況に耐え切れるな、と私は周りの人を万感の思いで見ていた。

既に周りの戦士の武器は破壊され、ただ見守る事しか出来なくなる人が出始めた。もちろん私も例外なくその一人だ。そして私は「クロースローブ」までも破壊されてしまった。
「やれやれ」と、私は大きくため息をついた。

え?戦闘の結果はどうだったかって?
言わなくてもわかるよね。

Comment

管理人にのみ表示する


Track Back
TB*URL

Copyright © そよかぜ航海記. all rights reserved.
Design by Pixel映画山脈
ホームページ アフィリエイト レンタルサーバー FC2ブログ カウンター