ニコチンの悪夢
落ち着かない。
気持ちが定まらない。
私の頭は、あるものを渇望する。
それを求めてやまない。
おそらく、それを手に入れるための努力は、どんなにかかろうと厭わないだろう。
他者が、私をどれだけ嘲ろうと、それを私は求め続ける。


というより、私は禁煙をしていたはずで、その禁断症状は治まったはずだった。
すでに一ヶ月の禁煙生活を終え、その紫煙の呪縛からは解き離れたとおもっていた。
しかし、本日会社での車の中で、同乗者の副流煙を吸ったばかりに、私の頭の中には煙草への要求がひっきりなしに鳴り響いている。

「たった一服くらいイイじゃないか。なにを迷う必要がある?」

と、私の頭が、私自身に語りかけてくる。




しかし、なぜだ、なぜなんだ!
この渇望は、この手の震えは、この頭の痺れは!
この呪いは、いつまで私を苦しめるのだ!
ああ、今私は明らかに常軌を逸脱している心持だ。
この渇きを、アルコールでどうにか誤魔化す以外、私が助かる道は無い。
がしかし、アルコールによる酔いが収まるにつれ、高まる煙草への渇望。
私は一体、いつまで正気を保てるのであろうか!

ああ、いっその事、この世の中なんてなくなってしまえばいい!
こんな苦しみがあるのなら、生きているのに何の価値があるのだ!

そもそも、世の中なんて理不尽だらけだ。
幸福な人間など、所詮一握りの人種のみだ。
他の人間は、他者の踏み台となって、人知れず埋もれていく運命。
すべての人間の救済など、所詮あるべくもない。

そう、すべて煙草が悪いのだ。
この人を苦しめ、幻想を抱かせ、そして悩ませる。
すべての欲望より勝り、そして支配する。
しかし、それは魅力的で、麻薬的だ。

ああ、たった一服すえたら、私はいつ死んでもいいのかもしれない。
きっと、とてもそれは私を幸福にさせるに違いない。
そしてそれは、悪魔のささやきなのだ。





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