
私は闇夜を歩いていた。
天井の空には太陽は無く、
無数の星々のきらめきが、ただ蛍の光よりもはっきりと、くっきりと、現れていた。
星達の世界の中に、とてつもなく大きな星があった。
月だ。
月は、下のほうから光を当てられたボールのように輝いており、
そう、
三日月だ。
月は、私の目には、ぼやけて見えた。
まるで涙に滲んだ視界に映ったかのごとく、
儚く、そして美しく。
空を一通り見渡した私は、ここが森の中であることに気が付いた。
周囲はうっそうと茂る木々に囲まれ、夜の闇をさらに一層深く感じさせる。
それらの木は、静かに呼吸をするかのように、夜風に木の葉を揺らせ、ただ、時が過ぎるのを神妙に、そして穏やかに、過ごしているかのようだった。
私の周囲には、この静かに息づく森以外、だれも居ないようだった。
いや、人間だけではなく、生ける者自体の気配を感じない。
それは実に奇妙な静寂であった。
しかし、この森にとっては、この静寂こそ平穏なる日々に違いないのだ。
それにしても、なぜ私がこんな真夜中に歩いているかだって?
そんなこと、俺が知りたいくらいだ。
特に目的は無い。
ただ、この世界を歩き回るだけの、放浪者だ。
おそらく、私のこの旅には、特にゴールは無いだろう。
そんなことを考えているうちに、どうやら夜が明けたようだ。

私は、帝都を出て、東へと向かう。
そこで待つのは何もないと、わかっていても、
それこそが、旅に違いないのだから。
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